現在はビジネスマンとして活躍している「元一流アスリート」4人が集められた講演で、マインドについてとても興味深い話が聞けました。クローズドの講演だったため、名前や詳細は書けませんが、可能な範囲で共有できたらと思います。
ピックアップする話の内容は、下記の2点。
・現役時代のマインドについて
・スランプ(壁)にぶつかった時
ちなみに、私はコーチング資格を持っていて、心理学の勉強と実践をしています。上記テーマの話を通して見えてきた、共通するマインド(心)の作り方を少し分析もしてみました。
登壇者は現在はビジネスを営む 元トップアスリート
・元格闘家
・元ハンドボール日本代表
・元プロ野球選手(投手)
・現役レーサー兼経営者
名前は公表できませんが、その分野であれば誰でも知っているような方々でした。それぞれ「闘さん」「ハンさん」「球さん」「レーさん」と呼ぶことにします。
わかるように書くので覚えなくて大丈夫です。笑
元格闘家のマインドの作り方
格闘家はビビりが多い?
「同業者はビビりが多く、やるかやられるかの世界のためやはり強敵を相手にする試合は恐怖が伴う」
こちらは元格闘家(以降「闘さん」)の言葉です。
ビビりは言い過ぎだと思いますが、ここで重要なのはプロの格闘家は自信満々なだけでなく恐怖と戦っているということです。
恐怖に打ち勝つためのマインド
「闘さん」は完璧に勝った時の世界をイメージすることで、恐怖よりワクワクが勝るという心のつくりかたをしていました。
イメージは半端なものではなく、どんな感情なのか、どんな景色なのか、誰がどんなふうに喜んでくれているのかをイメージします。
おもしろいのは、鮮明にイメージできる時は、どんなに相手が強くても、心の入り方も結果も良かったということ。
逆にうまくいかない、腹が決まらない時は「勝たなきゃ」という義務感を感じていたということです。
心理学的な分析
成長や向上を目的としたカウンセリングでもっとも重要なことが目標を明確にすることです。
ここでの目標を明確にするということは、「目標は〇〇です」だけではなく、まさに「闘さん」が行なっているように、まるで自分がそこにいるかのようにイメージすることです。
実際に、この目標のイメージが強ければ強いほど、実現する可能性は高くなります。
「意志の力より、イメージが重要」
by 闘さん
深い言葉ですね。
意志の力、例えば「絶対頑張ろう」と思うのと、イメージすることは同じではありません。
身体的にも強いイメージは体験に近いのです。
元ハンドボール日本代表選手のマインドの作り方
大切なのは「切り替え」
元ハンドボール日本代表選手(以降「ハンさん」)が大切にしていたことは「切り替え」でした。
一度は何か失敗した時などに「切り替えていこう」と思ったり、声をかけてもらったことがあるのではないでしょうか。
ハンさんはこの「切り替える」を意識的に行なっていました。
では、意識的に「切り替える」とはどういう行動になるのか。
例えば、試合中に失敗をしたとき、悔しさなどのマイナスの気持ちを表現しません。それは、必要ないと考えているからです。
それよりも、失敗したあと次のプレイをどうするかをすぐに考えるべきだ、とハンさんは言っていました。
できなかったことにフォーカスすることは非生産的な思考
マイナス思考の方や、自信がない方に多いのが、自分の過去の経験の中で「できなかったとこ」ばかりに注目しているケースです。
どんな人も必ず「できなかったこと」だけでなく「できたこと」もあります。この「できたこと」に注目すると、自分のリソース(可能性)が引き出されます。
そして、「できなかったから」ではなく「どうすればできるか」を考えることで、大きく前進していきます。
ハンさんは目まぐるしく変化する試合の中で、失敗を振り返って時間を無駄にすることはせず、自分のリソースに注目し最大化していたともいえそうです。
また、チームへの影響も考えていました。思考は伝染します。
ハンさんはマイナスの思考ではなく、プラスの思考をチーム内で共有するべきだと考えていました。
元レーサーのマインドの作り方
少し似ている話で、元レーサー(以降「レーさん」)は、「勘違い」と「開き直り」が大切だという話をされていました。
全力で「勘違い」する
「自分が世界で一番早いと勘違いするようにしていました。」と語った「レーさん」。
これは元格闘家の「勝った自分とその世界を鮮明にイメージする」と共通していますよね。「レーさん」の「勘違いする」という言葉がそのイメージの強さを物語っている気がしました。
「闘さん」の言葉を借りるなら、自分の意志でなりきっているのではなく、完全に思い込めるくらい(勘違いできるくらい)強いイメージを持っているといえます。
開き直る
失敗した時は「開き直る」ことが大事だとも言っていました。
レーサーは1億円以上の車に乗り、クラッシュで数千万がとぶ世界です。そんな中、失敗を恐れていると萎縮したレースしかできません。
なので失敗(クラッシュ)を恐れることはやめたそうです。では、どのようにしてやめられたのか。
例えば、クラッシュした次の日は、ケロッとして全く気にしていない「フリ」をしたそうです。この行動も心理学で説明ができます。
人は動作で、感情が変わる
人は楽しいと笑いますが、逆に笑うと楽しくなります。
そう、感情で動くだけでなく、動作や行動をすることによってその感情になるという性質も持っているのです。
「レーさん」の開き直るフリをするというのは、やはりクラッシュで落ち込みはするものの、開き直っているような振る舞いや言動をすることによって、本当に開き直ることができていたのでしょう。
この「開き直り」というのは、元ハンドボール選手の「切り替え」と共通していますね。
元プロ野球選手のマインドの作り方
さらに、「開き直る」や「フリ」をするで共通していたのが、元プロ野球選手の投手(以降「球さん」)の話です。
表情でマインドをつくる
中継ぎ時代は、ブルペンからでるのが怖かったという「球さん」。
ピンチの状況でマウンドに上がることも多く、打たれることばかり考えてしまっていたのだそうです。
そこである時から、ブルペンからでる際には必ず鬼の形相で出ていったそうです。
ここでポイントなのが、鬼の気持ちではなく「鬼の形相をつくって」という点です。
相手になめられないためにとは言っていましたが、表情をつくることで感情がついてきていたと思われます。典型的な「動作で感情が変わる」の例ではないでしょうか。
ピンチの状況では「諦める」
不利な状況や、マイナスなイメージに対しては「諦める」ことで対処していたと、「球さん」は語っていました。例えば、
・ピンチの場面でマウンドにたてば、点は取られてもしかたがない状況だ。
・打率の良いバッターとの対戦では、自分より年収の高いバッターに打たれるのは当たり前だ。
というように、極端に諦めていたと言います。
一見するとこれまでのアスリート達のマインドに対して、マイナスイメージを持っているように思われたかもしれません。
確かにプラスのイメージや目標のイメージは強く感じませんが、ここにはマイナスイメージはありません。この精神状態は禅の世界に近い気がします。
苦しみは、逃れようと思うから苦しいのです
禅には、ありのままを受け入れるという考え方があります。そして苦しみは逃れることを求めるから苦しいとされています。
例えば、お腹がすいたとき、お腹がすいた状態を逃れたいと求めるから苦しいのであって、お腹がすいている状態は事象でしかないということです。
ちょっと難しい話になりましたね。笑
とにかく、「球さん」はある種の恐怖に対し、役に立たないマイナスの感情を取り除くことで対処し、今持っている力を最大限発揮することにフォーカスすることができたと考えられます。
マイナスイメージの排除という点では、元ハンドボール選手の「切り替え」や元レーサーの「開き直り」と共通する部分も多いのではないでしょうか。
日頃のマインドがスランプを打破する
「スランプに陥った時、どのように乗り越えられたか」というテーマになった時、全員共通していたことがありました。
壁にぶつかった時は、日頃のマインドをより深めている
トップアスリートは様々なプレッシャーや恐怖と常に戦っています。日頃から自身のマインドに向き合い、様々な方法で前進するためのマインドづくりを心がけています。
スランプになったり、壁にぶつかった時は、普段心がけていることや、大切にしていること、うまくいったときのイメージなどを、より強く深く実践している点で共通していました。
全体を通して
違う言葉で話される共通点
ある人は「イメージの力」と言い、
ある人は「勘違い」と言う。
両者とも、目標を達成した自分と、目標を達成した時に広がる世界を鮮明に描いています。
ある人は「切り替え」と言い、
ある人は「開き直り」と言い、
ある人は「諦め」と言う。
全て、「失敗は忘れよう」という慰めの言葉ではなく、前進するための行動として明確な意図があります。
心理学など学術上で表される言葉ではなく、強烈な経験を通した生の言葉でした。
常に大きなプレッシャーや恐怖の中に身を置く中で、各々のやり方で「恐れない」という意志ではなく、「恐れることをやめる」という行動にうつす点が面白いと感じました。
思考は常に未来思考に置き、ポジティブに考え、思い込み(ある種の自己催眠)によって目標の明確化と自身を前進させている印象を受けました。
細かい点をみると「引き寄せの法則」や「楽観主義」などの分野とも関わりがありそうで、深掘りするとキリがないのでこのへんでやめておきます。笑
ブログ内ではマインドハック的な記事がいくつかあるので、興味のある方は関連記事から読んでみてください^^
コメント