寄席デビュー @新宿末廣亭

先日、初めて寄席に行きました。

新宿三丁目駅の近くにある「新宿末廣亭」という古くからの寄席にお邪魔しました。番付がかけられた昔ながらの建築の末廣亭は、周りの街並みの中で異彩を放っています。公演は昼の部、夜の部、そして深夜にもやっており、この日私は夜の部に行きました。入場前にしかチケットは買えないため注意が必要です。

中に入ると、昔ながらの寄席のかたちがそのまま残されており、別の世界に入り込んだような高揚感を感じました。前方に舞台があり、中央には並べられた座席、両側には桟敷席が設けられています。
桟敷席では靴を脱いで畳の上で見ることができます。割と広く、くつろいで見られている方が多かったです。空間全体に高低差がほとんどなく、舞台やお客同士との距離感が近く感じました。それは物理的な距離だけでなく、親近感に似た心の距離感が近く感じたように思いました。
私は中央の座席に座りましたが、夜の部、昼の部とも公演が4時間と長く、途中で休憩は挟むもののお尻が痛くなり桟敷席にすればよかったと思いました。
座席指定はなく、入ったときに空いている席に座ります。
飲食の持ち込みはOK(アルコール類はNG)だったのでジュースを持って入場しました。会場には小さな売店があり、ジュースやお菓子(ビスコやハッピーターン、源氏パイなど)が売っています。再入場ができないため、事前に飲み物や小腹を満たすものは持って行ってもいいかもしれません。ただし、あまり音が鳴るものは控えた方が良いでしょう。
2階席もあるのですが、この日は立ち入り禁止でした。1階が満員のときに解放するらしく、少し見てみたかっただけに残念でした。

出囃子とともに入れ替わり立ち代り舞台に立つ芸人の方たちとの距離感はやはり近く、会場の空気感も独特なものでした。笑う準備ができているアットホームな空気と、良いものをみせてくれというプレッシャーが心地よく混じっているように感じました。それはおそらく、建築やしきたりなどの空間演出の効果もあると思います。

寄せでは大阪は漫才、東京は落語が多いらしく、この日も半分以上が落語でした。
落語を聞いた後というのは、映画を観た後の感覚に近いものを感じました。
全く別の世界を体験する感覚、全く別の人間の感情や考えを共有する感覚。実際に映像はなくても落語家の身振りやセリフだけで頭の中に映像が浮かび、それは体験として記憶されます。
映像が浮かぶというのは少し違うかもしれません。落語家を通して情景が見えるという方が近いかもしれません。見ているものは落語家でも、見えているものは落語家が演じてる様々な個性的な人々でした。

落語家は舞台に出てきてからは観客との対話で「つかみ」本編へとつなげていきます。「つかみ」では本編に必要な前情報や、どういった話をするのかという流れをつくり客の準備をさせていました。この客に準備をさせるという行為が非常に重要に感じました。前置きの会話によって、「これからこうゆう話をしますから、こうゆう気持ちで聞いてくださいね」ということを伝えることで、笑いどころや、話のわかりやすさが変わってくるように思います。これは普段の会話でも重要だと感じました。
また、前置きから本編に切り替えわる瞬間も個人的に好きでした。説明もなしに役に入るにも関わらず空気がガラっと変わり話のテンポが変わります。(本編にはいるタイミングで羽織を脱ぐという合図はありますが。)
前置きで客との距離を縮め、共感や共通認識をつくり和やかなムードのなか、本編に入ると落語家が役を演じだす。緊張と緩和、話のテンションの強弱によって、緊張と緩和がうまれ客はぐっと集中します。エンターテイメントとしての高度な演出を感じられました。
(落語に詳しくもないので、個人的な意見ですが。笑)

落語以外にも、マジックやコント、演奏など芸人の種類もバラエティ豊かでとても楽しかったです。
公演によって出演する芸人も変わり、芸人によっても個性が豊かなので、少し通ってみようかなと思いました。
入るのにはもしかしたら勇気がいるかもしれませんが、特に難しくもなく敷居も低いので行かれたことのない方はぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。

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